脈々WEB版 2019年冬号

教えてドクター!

加齢に伴う口腔内の乾燥対策を教えてください。

ドライマウスの原因は唾液の分泌量の低下です

 

唾液のはたらき

 

最近、増加傾向にある口腔内トラブルの一つに、ドライマウスがあります。ドライマウスとは唾液の分泌量が低下することで口の中が乾燥してしまう症状です。口の中がネバネバしたり、ノドがよく乾く、唇がひび割れるなどの症状が見られます。
 唾液の分泌量が低下する原因は、加齢による筋肉の衰えや、常用している薬剤の副作用、女性ホルモンの低下による自律神経のバランスの乱れや精神的なストレスなど、さまざまな原因が考えられます。
 唾液には、口の中の残ったカスを洗い流す自浄作用や、消化酵素アミラーゼによる胃や腸での消化・吸収を促進する作用、細菌の増殖を防ぐ抗菌・免疫作用、食事を摂ると酸性に傾く口内を中和させる緩衝作用、酸性になると溶け出してしまう歯を修復する再石灰化作用など、体の健康を維持するために必要不可欠のなはたらきがあります(上の図を参照)。
 唾液の分泌量が減ってしまうと、通常よりも感染症にかかりやすくなったり、虫歯や歯周病、口内炎などの口腔疾患につながるリスクも高くなるのです。

侮れないドライマウスをセルフケアで防ぎましょう

 

 中高年になると一般的に口の中は乾きやすくなるものですが、唾液が出ないと口臭が強くなったり、会話がしづらくなったり、入れ歯がフィットしづらくなったりします。さらに重症化すると、食べものが飲み込めなくなる摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)や、味がわからなくなる味覚障害を起こして食事そのものが苦痛になってしまうことも考えられます。
 たかが口の渇きと侮らずに、自覚症状がある場合には早めに口腔外科や歯科で相談するようにしましょう。
 日頃からできるセルフケアとしては、唾液がよく出るように適度な固さのある食べ物をよく噛んで食べること、ダラダラ食べをせずに規則正しく食事を摂ることも大切です。
 また、食事の前にリラックスしながら唾液腺を刺激するマッサージをするのもおすすめです。
 唾液腺には大きく分けて大唾液腺と小唾液腺の2つがあり、耳の下、顎の下、舌の下にある3つの腺は大唾液腺です(下図参照)。1日に分泌される唾液の量は0.5~1.5リットルと言われており、その95パーセントが大唾液腺から分泌されています。

 

唾液腺マッサージ

大唾液腺イメージ図

唾液腺マッサージ方法

「うまみ」を利用して小唾液腺を効果的に刺激

 

 一方の小唾液腺は口腔の粘膜に広く分布していて、粘り気のある唾液が出ることが特徴です。
 東北大学大学院歯学研究科の笹野高嗣教授が開発して世界的に注目されている、「うまみ」を用いたドライマウスの改善法は、この小唾液腺の分泌を促すものです。唾液の分泌を増やすには柑橘類などの酸味に即効性はありますが、乾いて荒れた口腔内には刺激が強過ぎること、また、唾液量が一気に増えるものの分泌時間はあまり持続しないことが研究の結果、わかりました。
 対して、昆布やカツオだしで日本人にはおなじみのグルタミン酸=「うまみ」は口当たりがマイルドで後味も続くことから、唾液の分泌時間も長くなることがわかったのです。
 テレビでも紹介されて話題になっている昆布の「うまみ」水を用いたセルフケアは手軽なので、ぜひ試してみてください。

 

小唾液腺を刺激する
昆布の「うまみ」水の作り方

 東北大学の笹野高嗣名誉教授が、ドライマウスで味覚障害を起こした患者さんの症状を「うまみ」で改善した研究論文を発表し、話題を呼びました。
 舌の細胞が「うまみ」を感知すると小唾液腺の分泌スイッチが入り、脳をリラックスさせます。その効果を活用したのが、昆布の「うまみ」水です。
 作り方は、細かく刻んだ昆布30グラムを500ミリリットルの水に1日つけておくだけ。口内の乾きを感じたら、その水を口に含んで軽くゆすぎます。

注意*昆布にはヨウ素や塩分も含まれるので、飲む必要はありません。作った昆布の「うまみ」水は冷蔵庫に保存して2日以内に飲みきってください。

昆布のうまみ水の作り方

お話を伺ったのは…

那覇デンタルクリニック 院長
宮本 英欧(みやもと ひでお)先生

国立東北大学歯学部卒業後、Sichuan University School of Stomatology へ留学。東北大学病院、沖縄県歯科医院勤務を経て、2017年6月に那覇デンタルクリニックを開院。

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