脈々WEB版 2020年春号

教えてドクター!

シニア世代の皮膚トラブルを防ぐ肌ケアについて。

加齢に伴う皮膚疾患は肌ケアで防ぎましょう

 

皮膚のうるおいを保つ3つの物質

皮膚のうるおいを保つ3つの物質

 

 人間の皮膚の老化は20歳を超えると始まり、たるみ、乾燥、細かいシワ、発汗の減少、色素細胞の機能低下(白斑や体毛の白髪化)などの現象が見られるようになります。
 中でも、加齢と共に顕著になるのは肌の乾燥です。乾燥は皮膚の表皮のうるおい(水分)を保つために必要な皮脂、角質細胞間資質、天然保湿因子の3つの物質が少なくなることで起こり、一般的に男性よりも女性の方が早い年代から皮膚の乾燥が始まる傾向があります。
 シニア世代に多い皮膚疾患に、肌が粉を吹いたように白くなったり、カサカサしてひび割れたり、かゆくなったりする「皮脂欠乏症(乾皮症)」があります。膝下や太もも、腰回り、わき腹などによく現れる症状ですが、乾燥がさらに進むと「皮脂欠乏性湿疹」となり、眠れない程かゆみがひどくなることがあります。
 肌の乾燥を悪化させる原因は加齢や空気の乾燥の他に、体の洗い過ぎや冷暖房の効かせ過ぎなどの生活習慣があげられます。毎日のからだの洗い方が乾燥を進ませていたり、保湿剤の塗り方が間違っているために症状が改善されないことがよくあります。
 石けんを使った正しい体の洗い方と、保湿剤の塗り方を知って、まずは日頃の肌ケアを見直すことから乾燥対策を始めてみましょう。

石けんを使った正しい体の洗い方

体は石けんを泡だてて洗いましょう。泡立てネットを軽くお湯に浸して濡らし、石けん(固形もしくは液体)をつけ、ネットをもみながらお湯をかき混ぜてよく泡立てます。ホイップクリームのようになるまでしっかり泡立て、泡で体を包むようにやさしく洗いましょう。

石鹸を使った正しい洗い方

ドクターからのアドバイス

  • 1.お湯だけでは汚れは落ちません。石けんを使って洗いましょう。
  • 2.石けんは泡立てて、泡で包むようにして洗いましょう。
  • 3.こすり過ぎを防ぐため、できるだけ素手で洗いましょう。

保湿剤の正しい塗り方

清潔な手に適量をとり、手のひらを使ってこすらずに、やさしく塗り広げます。ティッシュが皮膚に付き、肌がテカるくらいの量が目安です。

保湿剤の正しい塗り方

ドクターからのアドバイス

  • 1.入浴後は、できるだけ早めに(5分以内が理想)塗りましょう。
  • 2.水や保湿剤で肌を湿らせておくとより効果的です。
  • 3.少量を薄く伸ばさず、少し多いと感じる量を塗りましょう。
  • 4.強くすり込まずに、手のひらでやさしく塗りましょう。
  • 5.季節に合わせた保湿剤を選び、年間を通じて続けることが大切です。
  • 6.医師からの指示がある場合は指定された部分に塗りましょう。

お話を伺ったのは…

とまり皮フ科 院長
新嘉喜 長(あらかき おさお)先生

琉球大学医学部卒業後、同医学部付属病院皮膚科、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター皮膚科、那覇市立病院皮膚科等の勤務を経て、2020年4月にとまり皮フ科を開院。
皮膚科専門医、日本皮膚科学会、日本皮膚外科学会会員。

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