教えてドクター!
コロナうつの予防について
体と同じく心の健康にも予防が必要です
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、家に引きこもりがちになったことや、生活パターンや同居人との関係性の変化、経済的な理由などによって心の不調を感じる人が増えています。
悲しいこと嫌なことがあると気分が沈んだり、やる気がなくなったりすることは誰にでもあることです。しかし、うつ病は一時的な気分の落ち込みではなく、物事の考え方が常に否定的になったり、喜びを感じられないなどの状態が長期に渡って続き、疲労や倦怠感、睡眠障害など体調にも影響に及ぼすものです。
また、最近の傾向として、気分が少し高ぶる軽躁状態とうつ状態を繰り返す「双極障害Ⅱ型」や他の精神疾患との合併症も増えています。
うつ状態になりやすい人には、マイナス思考に陥りやすい考え方のクセがあります。生活習慣病の改善に食事療法や運動療法が必要なのと同じように、認知行動療法によって思考のパターンを改善することがうつの予防につながります。
気分が落ち込むと小さなことで自分を責めてしまいがちですが、「○○ができなかった」ではなく、「△△はできた」と前向きに捉える練習をすることで、うつ状態を乗り切る「考え方」を身につけましょう。
うつ発病のメカニズム
ストレスには外側からのストレスと内側からのストレスがあり、外側のストレスは「事実」なので変えられませんが、内側のストレスは自分自身の「受け止め方」なので、減らすことができます。ストレスに対する否定的な感情にとらわれた状態が「トラウマ(心的外傷)」です。
「認知行動療法」でうつ病を予防
ドクターからのアドバイス
- ❶気分が沈みがちな時に、最も即効性が高い方法は、運動や活動を行うこと。つまり、体を動かすことです。
- ❷近所を散歩したり、気晴らしに庭いじりをしたり、昔たしなんだギターを弾いたり。活動の方法はどのようなことでも構いません。
- ❸不自由な生活を強いられている日常の中でも、自分がほんの少し心地良くなる方法を見つけることが、心の健康につながります。
田崎病院では、集団認知行動療法と作業療法を組み合わせた「うつ病予防・治療のためのケアプログラム」を行っています。ご不明な点などがありましたら、お電話にてお問い合わせください。 田崎病院 ☎︎098-885-2375(担当/加藤、宮良)
お話を伺ったのは…
精神科医師
田崎病院 院長
沖縄県精神保健福祉協会 会長
仲本 晴男(なかもと はるお)先生
熊本大学医学部卒業後、琉球大学医学部に15年間勤務。沖縄県立病院副院長、県立精神保健福祉センター所長職を経て、平成 28年より現職に就任。うつ病の集団認知行動療法を開発して全国に発信し、平成18年日本うつ病学会第1回学会奨励賞を受賞。