脈々WEB版 2019年春号

特集

花と緑の島 熱帯植物セラピー

脈々2020夏号表紙

〈今号の表紙〉 沖縄では季節を問わず、鮮やかな色と香りを1年中振りまいてくれるラン。「ビオスの丘」の池のほとりで春の陽射しを浴びて微笑んでいる姿に癒されながら撮影しました。撮影:仲程長治

 

生命力あふれる 熱帯植物たちの癒し。

 弊社の創業事業は洋ランの生産でした。私が小学校低学年の頃、先代の社長である父に連れられてよく農場へ行き、デンファレの切り花の出荷作業や掃除を手伝っていました。当時は世界中から珍しいランの原種を集めたり、特集でもご紹介している沖縄の熱帯植物園「ビオスの丘」さんと、ランに関わることで協力することもありました。
 父の家では今でも庭木の幹や枝などあちこちにランを着生させています。四季折々に咲くランの花は美しく、屋外でもたくましく育つ姿からは熱帯植物らしい生命力の強さを感じます。
 ランを育てるのは温度管理などが難しいと思われがちですが意外と丈夫で育てやすく、弊社のランを贈った取引先の皆さまや親類から「毎年きれいに咲いていますよ」という嬉しいご報告もよくいただきます。
 今号では、新緑の季節を迎えた沖縄から、見ているだけで心が潤うような、多彩な花と緑の癒しをお届けします。

代表取締役 名護健 代表取締役 名護 健


 

沖縄の世界遺産・勝連城跡「日本一早い桜まつり」が開かれる沖縄本島北部の八重岳 桜の森公園。毎年1月下旬から約7000本のカンヒザクラが開花して、桜まつりを楽しむ地元の人々で賑わいます。

 

気分が華やぐ季節に、島も花盛りになります。

 1月下旬、日本一早い桜の開花ではじまる沖縄の春。
 方言で「うりずん」と呼ばれる2月下旬〜4月には色とりどりの花が次々と開花し、1年で最も過ごしやすい季節を迎えます。この時期、沖縄本島や離島各地で「沖縄 花のカーニバル」が開催され、洋ランやツツジ、コスモス、ヒマワリ、ユリなどが満開の花祭りや、空港、ホテルなどの施設でも鮮やかな花たちの歓迎が目を楽しませてくれます。
 沖縄の花といえばハイビスカスやブーゲンビリア、デイゴなど原色の花々の印象が強いですが、実は、こうした花々は南米原産のものがほとんど。実際に山の中で出会う琉球固有種の花々は、小さい白い花をひっそりと咲かせていたりと、意外に可憐な姿であることも少なくありません。

 

円比武御嶽石門の後方にある御嶽イジュ(伊集)
ツバキに似た白い花は香りが良く、琉歌にも歌われています。

首里城の聖地・京の内リュウキュウアセビ(琉球馬酔木)
白い筒状の小花が鈴なりに咲き、風に揺れる姿に春を感じます。

 

円比武御嶽石門の後方にある御嶽リュウキュウコスミレ(琉球小菫)
琉球列島が原産のスミレ。春の野山で紫色の小花を咲かせます。

首里城の聖地・京の内サキシマツツジ(先島躑躅)
久米島、石垣島、西表島で見られる八重山固有の赤いツツジ。

 

円比武御嶽石門の後方にある御嶽カンヒザクラ(寒緋桜)
ソメイヨシノよりも鮮やかなピンク色の花が下向きに咲きます。

首里城の聖地・京の内クチナシ(梔子)
香り高い花弁を風車に見立てて「カジマヤー」とも呼ばれます。


 

多彩な緑に癒される
熱帯グリーン図鑑

 

思わず深呼吸したくなる、新緑まぶしい春の森。

 沖縄の山々の新緑が芽吹くのは2月の始め頃。常春の島では秋の紅葉はありませんが、その代わりに、瑞々しい若緑から深みのある緑まで、熱帯の植物たちが織りなすグリーンのグラデーションが目を楽しませてくれます。

 

首里城跡ヒカゲヘゴ(日陰杪欏)
大型のシダ。葉は大きいもので2㍍以上にもなります。

中城城跡ミナミタニワタリ(南谷渡)
山の中でよく見られるシダで放射線状に葉を広げます。

座喜味城跡ゲットウ(月桃)
爽やかな香りの葉には抗菌効果がありお茶や化粧品にも。

 

首里城跡クロトン(別名:変葉木)
色とりどりの葉は沖縄の植栽でよく見られます。

中城城跡ビロウ(蒲葵)
沖縄ではクバと呼ばれ神聖な木として御嶽で見られます。

座喜味城跡ホウビカンジュ(鳳尾貫衆)
葉が鳳凰の尾のように流れる様から名付けられました。

 

首里城跡クワズイモ(食わず芋)
雨傘のような葉は人が入れるほど大きくなります。

中城城跡ヒトデカズラ(海星葛)
セロームとも呼ばれ、観葉植物としても人気があります。

座喜味城跡ミヤコジマソウ(宮古島草)
宮古島だけに分布している天然記念物の多年草です。


 

沖縄の世界遺産・勝連城跡「ビオスの丘」の花染池。沖縄に自生する熱帯植物の多くは、僅かな環境変化でも致命的なダメージを受けやすい絶滅危惧種でもあり、種の保存や繁殖にもつとめています。

 

生物多様性を感じさせる
植物たちの共存共栄。

 沖縄の森や公園では、ガジュマル、フクギ、ヤシなどの大木にハブカズラ、ポトス、モンステラなど、複数の植物が絡み付いている様子を見ることができます。他の植物を宿主として根を伸ばしたり、高いところへツルを伸ばして光を求める緑の姿は、熱帯植物の生命力の強さを感じさせてくれます。
 世界自然遺産への登録が検討されている沖縄本島のやんばるや西表島の森は、こうした植物たちが多種多様な生態系のゆりかごになっています。

 

鉢植えの雲南百薬をつまんでお料理に。観葉植物でおなじみのポトスも沖縄の森では大きく育ちます。

庭先の草花を乾燥させて薬草茶にします。背の高いヒカゲヘゴの幹をつたって光に手を伸ばそうとする緑たち。

 

鉢植えの雲南百薬をつまんでお料理に。精霊が住む木、ガジュマルは多くの気根を伸ばし、特異な樹形となります。

庭先の草花を乾燥させて薬草茶にします。豊かな森の緑が、世界に誇れる沖縄の生物多様性を支えています。


 

 

美しく神秘的な植物、洋ランに魅了されます。

 ランの仲間は世界中に約2500種が自生していると言われており、これは約25万種あるという世界中の種子植物の約1割を締めています。デンファレやコチョウランが一般的によく知られていますが、品種をかけ合わせることで、さまざまな色や形を生み出せることもランの魅力です。
 沖縄にある熱帯植物園「ビオスの丘」では、多くの光と良好な環境を求めて高い樹木の上に着生する神秘的なランの姿を楽しむことができます。

 

 

ビオスの丘の比嘉 博さん園内を案内してくれた
ビオスの丘の比嘉 博さん

 

首里城の城壁

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脈々2020夏号表紙

〈今号の表紙〉 沖縄では季節を問わず、鮮やかな色と香りを1年中振りまいてくれるラン。「ビオスの丘」の池のほとりで春の陽射しを浴びて微笑んでいる姿に癒されながら撮影しました。撮影:仲程長治

 

生命力あふれる 熱帯植物たちの癒し。

 弊社の創業事業は洋ランの生産でした。私が小学校低学年の頃、先代の社長である父に連れられてよく農場へ行き、デンファレの切り花の出荷作業や掃除を手伝っていました。当時は世界中から珍しいランの原種を集めたり、特集でもご紹介している沖縄の熱帯植物園「ビオスの丘」さんと、ランに関わることで協力することもありました。
 父の家では今でも庭木の幹や枝などあちこちにランを着生させています。四季折々に咲くランの花は美しく、屋外でもたくましく育つ姿からは熱帯植物らしい生命力の強さを感じます。
 ランを育てるのは温度管理などが難しいと思われがちですが意外と丈夫で育てやすく、弊社のランを贈った取引先の皆さまや親類から「毎年きれいに咲いていますよ」という嬉しいご報告もよくいただきます。
 今号では、新緑の季節を迎えた沖縄から、見ているだけで心が潤うような、多彩な花と緑の癒しをお届けします。

代表取締役 名護健 代表取締役 名護 健

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