脈々WEB版 2021年春号

特集

沖縄の海セラピー

脈々2021春号表紙

〈今号の表紙〉 「沖縄の人は海で泳がない」とよく言われます。島の人にとって、「海」は泳ぐ場所ではなく、生きる糧をいただく場所だからです。サンゴ礁のリーフが島を守り、その内側ではたくさんの生物たちが育まれ、僕たち人間もまた、海の恵みに育まれています。撮影:仲程長治

 

いつも身近にある 海からの恵みと癒し

 沖縄に暮らす者にとって、海はいつもそばにある存在でたくさんの思い出があります。
 子どもの頃は毎年1月中旬にやんばる(沖縄本島北部)にお墓参りに行くのが恒例で、目の前にある天然のビーチで親戚の子どもたちと貝殻を拾ったり、冬の海に膝まで入って遊ぶことが楽しみでした。中学生の頃は友人たちと連れ立って地元のビーチに遊びに出かけるようになり、大人になった今は、離島をつなぐ近くの海中道路へ家族でよくドライブに出かけます。途中で買ったもずくの天ぷらをほおばりながら、海上に浮かぶパラセーリングを眺めてのんびり過ごす休日が、わが家の子どもたちにとって、いつの日か「沖縄の海の思い出」になることを願っています。
 海が見える風景は私にとっては日常ですが、県外から那覇空港に帰ってくる時に飛行機の窓から見下ろす沖縄の海はサンゴ礁のグラデーションが特別に美しく、「島に帰ってきたなぁ」と感じます。
 今号でお届けする沖縄の美しい海の写真や、ご自宅でも取り入れられる海の恵みで、少しでも癒されていただければ幸いです。

代表取締役 名護健 代表取締役 名護 健


 

海のリズムと共にある暮らし

海辺で過ごすひとときは、無条件に安らぎや癒しを与えてくれます。青い海や波のゆらぎには、眺めているだけでも同様の効果があり、島の人たちは暮らしのあらゆる場面で海の癒しを取り入れています。

イノー

波が穏やかなイノーは小魚や卵を育む沖縄の海の「生命のゆりかご」です

 

恵みをいただき、祈りを捧げる浜辺

 四方をサンゴ礁の海に囲まれた沖縄。海岸線にはイノーと呼ばれる穏やかな浅瀬の海が広がり、イノーは「海の畑」として小魚や貝、海藻などの手軽な海の幸を人々に与え、暮らしを支えてきました。
 また、沖縄には五穀豊穣をもたらす神々が海の向こうからやってくるという言い伝えがあることから、浜辺は祈りや祭祀の舞台にもなります。そうした祭祀は月の満ち欠け、潮の満ち引きに則した「旧暦」の日取りで行われるため、島の人々の暮らしのリズム、ひいては鼓動や呼吸のリズムも、ごく自然に海のサイクルに呼応し、大いなる癒しに繋がっているのかもしれません。

 

浜下り旧暦3月3日は女性たちが海水に足を浸して厄払いをする「浜下り」の日。潮干狩りをする家族連れの姿が多く見られます

春の海1年で最も大きく潮が引く春の海。サンゴも水面から顔を出します


 

マースは海のエッセンス西表島で最も古い集落の一つ、祖納の浜。昔は村全体で塩づくりが行われていたそうです

 

西表島の海が育む、昔ながらの塩作り

 島の8割が亜熱帯のジャングルに覆われた西表島で、長らく途絶えていた塩づくりが昨年、復活しました。
 美しい浜で汲み上げられた海水から手作りされる「西表島の塩」は、ソルトソムリエが「日本一甘い塩」と称するほどの、まろやかな味わいが特徴です。甘さの理由は、川を通じて海に流れる森由来のミネラルがバランスよく含まれていること。後味に、やさしい余韻が残る塩です。

 

「西表島の塩」webサイト= https://iriomote-salt.com 問い合わせ=ソルトラボ石垣島 TEL.0980-87-9801

 

マースは海のエッセンス

 


 

海の野菜“海藻”で元気

沖縄にはコンブやワカメのような大きな海藻はありませんが、浅瀬の海では様々な海藻が育ち、野菜が不足しがちな暑い夏を乗り切る貴重なミネラル源として沖縄の長寿を支えています。

 

アーサと海

春先に岩場を緑に染めるアーサ

 

アーサ(アオサ)

沖縄でよく食卓にのぼるアーサは冬から春にかけてが旬で、かつおだしの効いたアーサ汁や、磯の香りが香る天ぷらにしていただきます。アーサは40%が食物繊維でできているうえに、カルシウムやカリウム、βカロテンが豊富に含まれているため、胃腸の調子を整えたり、免疫力をアップする効果があると言われています。

アーサ左:アーサ汁  右:アーサの天ぷら

 

スヌイ(モズク)

昔は天然物が主流でしたが、近年は養殖が盛んになりました。全国に流通しているもずくの99%が沖縄産です。ぬるぬる成分のフコイダンには整腸作用や潰瘍、腫瘍に抗う効能があるとされ、健康食材としても注目されています。三杯酢で食べるのが一般的ですが、沖縄では味噌汁の具や天ぷら、もずくそばも人気です。

スヌイ左:もずくの味噌汁  右:もずくそば

 

海ぶどう

別名グリーンキャビアとも呼ばれ、プチプチとはじけるような食感が人気の海藻です。塩気と粘りがあるので、とろろ芋や卵と合わせた海ぶどう丼や、サラダにもよく合います。また、マグネシウムや鉄分などのミネラルや、美容成分として知られるヒアルロン酸を豊富に含むため、最近では化粧品にも用いられています。

海ぶどう左:海ぶどう丼  右:海ぶどうサラダ

 

モーイ(イバラノリ)

八重山地方でスーナとも呼ばれる海藻の仲間で、春先から初夏に採ったものを乾燥させて保存します。細い枝がモシャモシャした見た目ですが、さっと湯がくとコリコリとした食感になるので野菜と和えたり、煮ると寒天質のとろみが出るので、ツナや野菜を入れて固めた「モーイ豆腐」という郷土料理にも使われます。

モーイ左:モーイ豆腐  右:乾燥モーイ

 

古宇利島のチヌグ浜

沖縄のアダムとイブ伝説が残る、古宇利島(こうりじま)のチヌグ浜。春先には天然のスヌイやアーサが採れます


 

沖縄で広がるタラソテラピー

タラソテラピー(海洋療法)は海水や海藻、海泥などの海の資源を健康促進に活用するフランス生まれの自然療法です。美しい海に囲まれた沖縄でも、本格的なタラソテラピーを体験できるウェルネス施設が増えています。

 

タラソテラピー

海水の浮力を使って全身をリラックス

 

海の癒しで健康促進

 海の恵みを総合的に活用して心身の健康に役立てるタラソテラピーは、発祥地のフランスやドイツでは医療の1つとしても認められています。日本でも、治療のための海水浴は「潮湯治」と呼ばれ、海がもたらす癒しの効果に昔から着目してきました。
 現在、沖縄には温かな海水プールを有する大型のタラソテラピー施設があり、水流のあるプールの中をゆっくり歩いたり、全身の力を抜いて海水に浮かぶなどの運動プログラムや海の幸を用いた食事、海泥のマッサージなどを体験することによって、高齢者の体力機能の向上や睡眠の質の改善、精神の安定やストレスの軽減などの効果がもたらされています。

 

マースは海のエッセンス

 

古宇利島のチヌグ浜

汚染されていない海水と自然環境がある沖縄は、アジア有数のタラソテラピーアイランド

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沖縄の海セラピー

脈々2021春号表紙

〈今号の表紙〉 「沖縄の人は海で泳がない」とよく言われます。島の人にとって、「海」は泳ぐ場所ではなく、生きる糧をいただく場所だからです。サンゴ礁のリーフが島を守り、その内側ではたくさんの生物たちが育まれ、僕たち人間もまた、海の恵みに育まれています。撮影:仲程長治

 

いつも身近にある 海からの恵みと癒し

 沖縄に暮らす者にとって、海はいつもそばにある存在でたくさんの思い出があります。
 子どもの頃は毎年1月中旬にやんばる(沖縄本島北部)にお墓参りに行くのが恒例で、目の前にある天然のビーチで親戚の子どもたちと貝殻を拾ったり、冬の海に膝まで入って遊ぶことが楽しみでした。中学生の頃は友人たちと連れ立って地元のビーチに遊びに出かけるようになり、大人になった今は、離島をつなぐ近くの海中道路へ家族でよくドライブに出かけます。途中で買ったもずくの天ぷらをほおばりながら、海上に浮かぶパラセーリングを眺めてのんびり過ごす休日が、わが家の子どもたちにとって、いつの日か「沖縄の海の思い出」になることを願っています。
 海が見える風景は私にとっては日常ですが、県外から那覇空港に帰ってくる時に飛行機の窓から見下ろす沖縄の海はサンゴ礁のグラデーションが特別に美しく、「島に帰ってきたなぁ」と感じます。
 今号でお届けする沖縄の美しい海の写真や、ご自宅でも取り入れられる海の恵みで、少しでも癒されていただければ幸いです。

代表取締役 名護健 代表取締役 名護 健

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