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沖縄の守り神シーサー
沖縄の守り神シーサー
シーサー(獅子)の起源は紀元前のスフィンクスや古代オリエントのライオンといわれています。獅子とはライオンのことで、その像は中国から沖縄に伝わりました。
沖縄ではシーサーと呼ばれ、日本では獅子が犬のように見えたことから狛犬になりました。
琉球最古のシーサーは王の権力を表すものとして造立された石獅子です。獅子像はその後、村々で制作される「村落獅子」へと受け継がれ、今では各家庭の守り神として身近な存在になりました。
ペアでシーサーを置く時の基本は、正面から見て右に、口を開けているオスのシーサーを置き、悪霊を追い払います。左に口を閉じているメスを。福を逃さないといわれています。
石獅子
シーサーというと陶製のものや漆喰シーサーなどをイメージすると思いますが、古来は災いを防ぐために村の入り口などに琉球石灰岩の村落獅子(石獅子)を設置しました。今も各地に点々と残っていて、町歩きをしながら探す楽しみがあります。
漆喰シーサー
琉球時代、赤瓦屋根の建築は特権階級にしか許されていませんでしたが、琉球が沖縄県となった後、明治22年、庶民に瓦葺が許されるようになったことで広がったのが漆喰シーサーです。
家を建てる時、瓦職人が余った瓦と漆喰で屋根獅子を作りました。
陶製のシーサー
沖縄戦の後、不足していた日用雑貨を作るため、沖縄各地の収容所に散らばっていた陶工たち百人余りが集められ、先駆けてやちむん(やきもの)の生産地であった壺屋に戻ります。
米兵へのお土産品として陶製のシーサーは売れ行きがよく、職人たちは阿吽(あうん)のシーサーを作るようになります。
村落獅子や屋根獅子は1体でしたが、沖縄の人びとが住宅の門柱にシーサーを置くようになると、バランスのいい「対」になったといわれています(諸説あり)。
参考文献:若山恵里『石獅子探訪記』ボーダーインク 2022年