沖縄の山を歩く

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沖縄の山を歩く

大石林山
150〜200年、、石灰岩の大地に鎮座するガジュマル。かつてこの地が切り開かれたときも、神聖な木として残されました。
垂れ下がった褐色の気根は地面に着くと支柱根となり、巨大な幹のようになります。
時間の堆積を目の当たりにしながら、沖縄本島北部の大石林山を歩きます。

大石林山で見られる植物や生きもの。

大石林山にそびえ立つ石灰岩は、約2億5千万年前、海底でサンゴ礁だったものです。
プレートが動き、陸地にのりあげ、堆積物が固まって石灰岩に。
雨で石灰岩が溶けた地形をカルストと呼び、特にとがったものはピナクルと名づけられています。
大石林山には人の営みが残っています。山の中に石を積んだ「猪垣」は、猪を追い込んで捕るための仕掛けではないかと言われています。
サクラランはランではなくキョウチクトウ科。厚い葉に水をためこみ、岩場でも育つことができます。
沖縄にはキノボリトカゲの仲間が広く生息し、沖縄諸島で進化したのはオキナワキノボリトカゲ。絶滅危惧Ⅱ類。
春に花を咲かせるマメ科の植物。沖縄の言葉で、色をイル、つるをカンダということからイルカンダの名がつきました。
ガジュマルは幹から褐色の気根を下ろし、自在な形をとりながら、土から水分と養分を吸って太くなっていきます。
種子が岩場や他の木の樹幹に落ちても生育できます。
木がまとっている迷彩柄は地衣類という菌の仲間。互いに陣地をとりあいパッチワークのような模様になっています。
大きな木の根元などでよく見かけるウズグモの隠れ帯。ふーっと息を吹きかけると、体長5mmほどのクモが裏から出てきます。
食糧困窮の時代、実や幹を食料としていたソテツ。毒があり、食べるには毒抜きが必要です。
大石林山から沖縄本島最北端の辺戸(へど)岬が望めます。岬から見える与論島までの距離は25km。

大石林山周辺の山を登ると、海が開けます。

 琉球列島はかつてユーラシア大陸と陸続きであった「大陸島」です。
 地殻変動や海水面の上昇で、大陸と離れ、さらに小さな島に分かれたり、またくっついたりと、変化を繰り返してきました。
 大陸と離れる時期が遅かった北琉球(屋久島やトカラ列島など)や南琉球(八重山諸島や宮古諸島)には、それぞれ日本本土や台湾と似通った生物が見られます。一方、沖縄諸島を含む中琉球は日本列島が形成される初期から約150万年もの間、大陸と離れたままだっため、他にはいないユニークな生物が多い島となりました。
 「沖縄のまわりってサンゴ礁が当たり前のようにありますが、これは新しいんですよ。200万年前よりも古い時代は泥まみれだったんです」と、「沖縄石の文化博物館」展示室担当の服部貴昭さん。
 海底に沖縄トラフと呼ばれる谷ができ、泥の流れがストップ。また島々が分かれ、黒潮によって泥が流されていき、サンゴが生きられるきれいな海になっていったのです。
 沖縄本島は山のある高島と山のない低島が合わさった島。乾燥地帯になることが一般的な亜熱帯地域でありながら、ゆたかな緑に覆われています。北部の山を歩くと、山原(やんばる)と呼ばれる森に特徴的な植物や生きものの生命力が至るところに潜み、濃い気配が漂っています。
 「キョキョキョキョー!」。森の奥からヤンバルクイナの声が響きわたりました。

大石林山がある安須杜(あしむい)は、祖神アマミキヨによってこの地が最初に創られたという琉球開びゃく神話が伝えられています。
このガジュマルは日本最大級。沖縄ではガジュマルにはキジムナーという精霊が棲むといわれています。
大石林山大石林山は2016年に指定された「やんばる国立公園」特別地区内にあります。
2021年、世界遺産の登録を審査する国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の登録を決定しました。
【取材協力】
株式会社南都 大石林山
沖縄県国頭郡国頭村宜名真1241
https://www.sekirinzan.com

大石林山や周辺の山々の風景を動画でご覧いただけます。

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